この記事で分かること
- 最近流行りのオンラインセールス手法
- 「売れる」ストーリーの構成
主流になりつつある VSL (ビデオセールスレター)
モノやサービスを売る時、一番重視するべき点は何でしょうか?価格?差別化?サポートの手厚さ?
それは、〇〇〇〇〇です。勘のいいあなたはおそらく気づいていると思いますが、
答え合わせは一旦置いといて、最近、流行のオンライン販売手法についてお話させてください。
最近トレンドになっているのは、VSL (ビデオセールスレター)です。読んで字のごとく、動画を見込み客に送り、大体30分程度の尺の動画でセールスを簡潔させるという形式。この形式で色んなものが売られてます。
・ゴルフやヨガなどのレッスン
・1on1 のコーチング
・語学教材
・ダイエットプログラム
・星占いなどのスピリチュアル系
・サプリメント(青汁のCMなんかまさにそうですねw)
・投資商品
もはやなんでもありって感じですが、その中でも売れる VSL と売れない VSL があります。どちらも同じように商品の魅力について語りまくっているはずなんですが、売り上げには差が出ていると。この差はどこから生じているんでしょうか?
・・・・・
割と最近の例で、The Oxford Japan という米国株投資メディアの金融系商品が相場の3倍の売上を立てた例がありました。
この時の VSL の構成について紐解きながら、売れる VSL の秘密を解明してみたいと思います。VSL の長さはおおよそ30分くらい。その構成を大まかに分けると、以下のようになっていました。
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フック
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価値の証明
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商品の紹介にスイッチ
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オファー
この構成をとることで、なんと相場平均の3倍以上の成約率を上げたそうです。すごいですよね。実際、動画の流れを丁寧に追ってみると、商品を売るための工夫が至る所に散りばめられていることが分かりました。
金融系の商品だけじゃなくて、あらゆるセールスの台本に応用できそうな構成です。
なのでぜひ、参考にしてみてください。一つずつ、解説していきます。
1. フック
フックは文字通りあれです。引っかけるフック。その名の通り、視聴者の注意を引いて、釘付けにするためのパートですね。
今の時代、コンテンツが大量にあるので、視聴者が1つのコンテンツに払う注意力はどんどん下がってます。例えば Youtube の統計だと、せっかく視聴開始された動画も、最初の15-30秒で約半数が離脱するそうです。
ヤバくないですか?自発的にクリックした動画ですら、それくらいの注意力しかもたない。だからこそ、冒頭で視聴者の注意を引く工夫が必要になってきます。
今回取り上げた VSL の例では、序盤に視聴者の興味を引く「謎」を提示しています。
具体的に言うと、あるデバイスをいきなり映すんですね。
パッと見ではなんなのか分からないデバイス。これはなんでしょう?
といった感じで、謎々形式で問いかけてきます。
人間って、質問されると注意が向く性質を持っています。ましてや「謎のデバイス」とか言われるとちょっと気になりませんか?最初の30秒くらいでそんな仕掛けを置いてるんですね。
そうやって注意を引いた後で、今度は権威性を足してきます。
権威性というのは、例えば○○大学の教授が~とか、著名人の○○さんが~とか、政府の認可を受けた~とかそういうやつです。要するに、「なんかすごそう」「ちゃんとすごそう」って思わせるやつですね。
この VSL では「謎のデバイス」の開発に投資した著名人としてイーロン・マスクが引用されています。
ここまで見たら、多分ですが、画面を閉じることはできないでしょう。一度釘付けになったら惰性で見ちゃいますから。ポイントなのは、ハッキリした答えを明かさないってことですね。ちなみに、答えは最後まで出ません。笑
あくまで周辺の情報や説明は出てきますが、答えは出さない。なぜそうするかと言うと、先にこのデバイスは○○というものです、とか言っちゃうと、画面を閉じられちゃうからです。自分でググればいいや、ってなりますよね。それを防ぐために、答え合わせは最後までしない。
これが、フックです。謎を与えて注意を引き、権威性でさらに「話を聞く理由づけ」をしていると。
一旦、視聴者を引き付けたら次はこの「謎のデバイス」の価値をさらに伝えていくパートに入ります。
2. 価値の証明
注意を引いた後は、話をさらに盛り上げていきます。
ただ盛り上げるだけなら色々とやり方はありそうですが、VSL の目的はあくまでも商品を売ることです。なので、商品の紹介につながるような形で、話を盛り上げていきます。
今回の例では、「謎のデバイス」がいかにすごいかについて、ひたすらまくしたてています。30分の尺のうち、半分ほどを費やして。これでもか、って感じです。
「謎のデバイス」は病気を探知する医療器具で
今までの常識を覆すほど画期的で
業界人の誰もが注目していて
精度についてアメリカ政府のお墨付き
といった感じで、次々と「謎のデバイス」の価値を伝えていきます。
少し話が逸れますが、モノやサービスの価値を伝える方法には色んなやり方があります。
価値を伝える方法の例
- 新規性と独自性
- 費やされたリソースの量
- 数値的なデータや根拠
- 著名人による利用実績やコメント
- 得られるベネフィットの大きさ
どれも人間の心理を突いたものです。
「イーロン・マスクが1000億円を投じて開発した業界初の革命的デバイス」とか言われたら、話を聞かざるを得ないわけです。悔しいですが、こんな見出しが LINE ニュースとかに出てたら見ちゃいますよね。
とまあ少し脱線しましたが、とにかく価値を伝えて話を盛り上げていくと。ジェットコースターが頂点にゴトゴト登っていく感じですね。
テンションが十分、高まったところで次は本題 = 商品の紹介に入っていきます。
3. 商品の紹介に話をスイッチ
ここでやっと、商品の話が出てきます。ここまで見た視聴者はだいぶ内容に引き込まれていますから、警戒心も緩んでいるはずです。
今回の例では、なんと「米国株式投資のニュースレター」に話がスイッチしていきます。そう、「謎のデバイス」は売りたい商品ではないんです。あくまで注意を引くためのフック、撒きエサですね。
もちろん、唐突に株式投資の話に移るわけではなくて、以下のように少しずつ話がずれていく感じです。
謎のデバイス -> このデバイスを開発したヘルスケア企業 -> ヘルスケア企業の株価の推移 -> ヘルスケア企業に投資するメリット -> 米国株式への投資
こんな感じ。鮮やかなスイッチですね。笑 多分、何も考えずに見ていたら気づかないと思います。それくらい上手く、話を方向転換させています。話を転換する間にも、具体的な数字とか著名人の引用なんかを入れて興味を引く工夫がなされてます。
ゆっくり時間をかけて、米国株式への投資に話が着地します。そこで初めて、商品の話が出てきます。
この VSL が上手いのは、商品を「欠けたピース」にして話を進めること。視聴者からすると、「米国株式に投資するとこんないい思いができるのか」と欲が出てきたところで、「しかし、話はそう簡単ではありません」と続けます。
「投資するべき銘柄を、自分でより分けるのは困難な作業です。」
確かにそうですよね。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」となってところで、うちの商品があれば大丈夫です、という訳です。
話を少しずつ商品の周りで展開し、「欠けたピース」を残す。欠けたピースが、売りたい商品。あなたにこのピースを提供します、という流れ。
ここからは商品の話に移ります。商品のベネフィットを並べます。得られるメリットについてですね。商品の過去の実績や顧客の声を、数値と具体例を交えて伝えています。
金融系の商品は怪しまれがちなので、実績多めにしているんじゃないかと思います。ベネフィットの伝え方も千差万別ですが、今回の例では実績がメインですね。過去にどれだけ購入者を儲けさせてきたか、という。
4. オファー
商品の紹介が一通り済んだところで、最後にオファーをかけます。オファーは言い換えるなら、「これを提供しますから、これを対価としてください」という取引の提示です。
端的に言うと提供物と値段のことですね。
この VSL では例にもれず、オファーを強める色々なテクニックを使っています。
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視聴者限定特典
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お試し期間の返金保証
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締め切りの提示
要するに、「いま購入する」理由を強めるのと同時に、「いまは購入しない」理由を潰しているんですね。
ここまで見た視聴者のうちどれくらいの割合が購入したのか、データにはないんですが、買い切りで約1万円という価格設定を考えるとおそらく1%とか2%という数字ではなく、10%とか20%売れたんじゃないかと思います。
1万ビューで1千万円の売り上げ。しかも無形商品なのでそのうち大半が利益。一撃の VSL で、これだけの利益です。すごいですよね。
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という感じです。
一つ一つのテクニックを見ると別に目新しいものはないんですが、この VSL が特に優れているのは視聴者を引き付ける「ストーリー」の構成です。はい、答えを言いました。多分、気づいてましたよね。笑
序盤で視聴者を引き付けるフック、そこからの盛り上げ、商品紹介へのスイッチ、最後のオファー。全ての要素がスムーズに違和感なく、そして普通に見ているだけでも面白いくらいのクォリティで構成されています。
これがもし、商品のベネフィットを端的に説明しただけの動画だったとしたら・・・
結果はもちろんやってみないと分からないですが、数倍、数十倍という単位で売り上げは違ったでしょう。
モノやサービスに対する買い手の警戒心は年々強まっています。その中で売り上げを作るには、モノやサービスそれ自体を売るのではなく、ストーリーを売るという考え方が大事になってきますね。
以上です。
また、次の記事でお会いしましょう。